Rooftop
ムキンポの鼻☆スペリオール
2009年6月号
連載第59回
ガザにもギザにも行けなかった
5月6日(水)から5月14日(木)までエジプト方面を旅してきた。実際にはエジプトしか行かなかったのだが、「方面」としたのは、日本を出るときの目論見では運がよければガザにも入る計画だったからである。6日深夜にカイロに到着して、翌朝、日本国大使館を早速訪ねた。必要なレターをもらうためである。応対してくれた広報文化センターの担当官によると、国境はこのところずっと閉じたままで、エジプト側の担当部署も変わり、大使館としてはレターは出せない、ということだった。とりあえずボーダーまで行ってみます、と担当官に告げ、翌朝、僕たちは長距離バスで国境手前の街エル・アリーシュに向かった。エル・アリーシュまではバスで約5時間の行程である。途中、けっこう厳しい検問があったが、なんとかやり過ごし、昼過ぎ、エル・アリーシュのバス・ターミナルに到着した。バスの僕たちのちょうど真後ろの席に坐っていた地元の青年がなかなか親切で、ここのホテルに泊まりなさい、とそこまでのタクシー代まで払ってくれた。タクシーを降りると、通りの向こう側が何やら騒がしい。何だ、デモか? と胸が騒ぎ、荷物を背中に背負ったまま、騒ぎのする方向に走ってみた。そこには地域のマスジドがあり、金曜礼拝の真っ最中だった。子どもたちに囲まれ、写真を撮っていると、案内してくれる人がいて、僕たちも身を清め、素足になって、急遽、マスジドでの礼拝に参加した。 ホテルに荷物を預け、国境の街ラファへと向かうバスの時間を調べるため、先ほどのターミナルへ戻ろうと流しのタクシーを拾った。どこまで行く? と運転手に訊かれ、ラファ、と答えると、50£E(約800円)で連れてってやる、と言う。運転席の背もたれには白黒のハッタをかけていたし、どうやら彼自身パレスティナ人のようである。ダッシュボードには赤い指のVサインのスティッカーが2枚貼ってあったけど、これは何の意味だろう。そうして僕たちはラファへと向かった。 国境手前でいきなり警察に呼び止められた。まだ写真も1枚も撮っていないのに。そのときはそのまま6時間以上、彼らに拘束されることになるとは夢にも思っていなかった。警察署の中から、今回の旅の指南役であるシャミル氏に彼から借り受けたVodafoneで、つかまっちゃったんですけど、と国際電話をかけてみると、のんびりした声で、せっかくだから警察の内部を盗撮してきてください、と言う。たまたま施設内に紛れ込んできたネコを「かんだたみ」と名づけ、かんだたみに夢中の振りをしてようやく撮った写真がこれである。テーブルの下に僕たちを監視している警察官の足だけなんとか写ってる。 ここで紙幅が尽きた。タイトルは、旅の後半はお腹をこわしてギザのピラミッドも見れませんでした、というところから考えついたのだが。 |
2009年5月6日(水)〜5月14日(木) ゴーゴー・エジプト 2009 Go Go Egypt 2009 エジプト観光写真紀行 ガザにもギザにも行けなかった |