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“シャローム&サラーム 2002” 2002年6月1日(土) この集会は、『ピースボート』が主催したもので、20代前半の若いスタッフが大勢いた。みんな張り切って活動していたので驚いた。
さらに、パフォーマンスグループ『スペース』が「ひとつの想い」という歌を、手話のダンス付きで披露してくれた。この歌詞、私は割とそのフレーズが気に入りました。 「どんなに、この道が困難で、惑わされる日々がつづいても、ゆるぎない想いを忘れずに、この道を進めよ」 「中東専門家」と紹介されていた、高橋和夫さん。彼は、たった10分間の話しか出来なかったけどその短い中でも、このように述べていました。「今の状況、暴力の連鎖、殺し合いが世界中で続いています。とくにパレスチナ・イスラエルでは、双方が殺しても殺しても憎しみはなくならない。争いは拡大し、ひどくなるばかり。シャロンの憎しみにたいする対応は失敗したと言えます。そして今回、ラミとケレンが持って来てくれたのは、まさにそういった憎しみ合い、争いなどが無意味だということを、たがいの「障壁」を乗越えて共に手をとって世の中を良くしていくことが大事なのです。」という内容でした。また、高橋氏も『エコノミスト』なんて雑誌を読んでいるらしくて、現在のイスラエル経済指標について「もう、ガタ落ちですよ」などと言っていた。そんな「ガタオチ経済」なのにあんなに軍事費を使ってパレスチナ人居住区の攻撃ができるなんて、アメリカがイスラエルの技術力を年間、30億とも50億ドルとも言われる経済基金で買上げているからなのでしょう。 ラミとケレンのトークライブ
24歳の彼は、見た目だけだと実際の年齢よりはフケてみえるけど、性格は友人と話をしている様子からだと、ヤンチャ坊主、といった感じ。でも、シリアスな話になると目を伏せたり、遠くを見つめたり、重い表情になる。彼は、第一次インティファーダのとき、14歳だったのですが、イスラエル軍の車両に火炎ビンを投げて燃やしてしまい、逮捕されてから約3年間も刑務所にいたことがあるのです。今は、パレスチナ人の平和グループ『ピース・ビジョン』の代表をやっているそうです。そんななか、『ピースボート』の招待状を受け取って参加したのでした。 そして彼が、1948年以降からのパレスチナ人の歩んで来た歴史や、PA自治区の居住分布、「オスロ合意」から今日までの「和平案」崩壊まで政治の流れを、解りやすくまとめて説明してくれました。だいたい基本的には、パレスチナ支援NGOとかを経験されている人たちなら皆さん知っているようなことを話したのですが、集会に参加した若い人たちの「“ぱれすちな”って?」というような人でも概略は、解るようなものでした。 それでも、私も驚いたのは、ジェルサレムの街では常に街の至る所に監視カメラが設置されているというのです。また、西岸地区からガザ地区まで行くのにビザを取らなくてはならないなど、制約が厳しいということです。そして、各チェックポイントでは、パレスチナ人の男性は、たとえ連れの女性の前であっても全裸にならなければならないということです。ムスリムにとっては、こんな屈辱的なことはないでしょう。 ジェニン・キャンプに彼が行ったときのことも話してくれました。「イスラエル軍が撤退したあと、すぐに私はジェニン・キャンプに行き、驚くべき光景を目にしました。そこには、何も無くなっていました。まるで砂漠のなかのような、そして、まるで核爆発でもあったような、そんな状態でした。」 イスラエル政府は、このキャンプの武力制圧での犠牲者は、「20人のテロリストと、50人の一般市民が巻き添えになり死亡した」とだけ発表しました。しかし、現地パレスチナ人らの証言によると、住民の300人以上が行方不明中、200人近くの死亡が目撃証言としてあがっています。(最近の情報では、ジェニン・キャンプでのパレスチナ住民犠牲者数、イスラエル軍の発表・死者50人、負傷者150人…PA自治政府発表・死者500人、行方不明者1600人) そして彼は言っていました。「この支援ツアーで日本に来てから、日本の友人たちにとても良くしてもらった。普通、こんなに長く故郷を離れたり、家族に会えなかったら寂しくてしょうがないのだけれども、この国では楽しいことばかりで全然そんなことは感じさせられなかった。でも、ときどき、ふとこんなことを考えて反省することがある。『パレスチナでは、今でも自分の友人や家族はイスラエル軍の攻撃にさらされているのに、自分はこんな楽しい思いを味わっていては、いけないのではないだろうか?』でも、こうして皆さんに話をできる機会が持ててとても嬉しいです」そんなことを演壇の挨拶のなかで語っています。 彼は、「日本でパレスチナを支援するNGOの人たちへお願いします。私たちは、お金が欲しいのではありません。皆さんで日本政府に、イスラエル政府に協力しないように圧力をかけ、パレスチナの現実を訴え、多くの議論を呼びかけてほしいのです」締めくくりに述べていました
彼女は、テルアビブ出身の21歳。『ピースナウ』に主にかかわっている、自称「フリーランスの平和活動家」です。彼女の家族は、典型的なイスラエル人で、祖父母はポーランドからの移民でした。ケレンが幼い頃、おばあちゃんから聞かされていたパレスチナ人のイメージは、ちょうど1940年代、ユダヤ移民への排斥運動が盛んだった頃、英統治領下のパレスチナ人のイメージであって、「恐い人たち」というものだったそうです。でも、ケレンの両親はふたりとも平和活動家であり、音楽家でもあるので、彼女もその影響を受けて育ったのでしょう。彼女の両親は、イスラエル政府から流される情報、新聞やテレビのニュース、そして学校教育に対しても、「そのまま真に受けてはいけない、自分で実際に確認してから判断しなさい」と、いつも言っていたそうです。なるほど、そのせいか舞台で話を聞いている時の彼女の様子も、ムスッと腕を組んで、なんとなく斜に構えたように見えました。後で解ったのですが、実はそれが彼女の照れ隠しのしぐさなのだそうです。 はじめに挨拶のなかで軍隊の自治区侵攻について、「なぜ、私たちイスラエル人が、私たちの社会でこのような殺戮がまかり通っているのか、皆さんに話したい」と述べました。 ケレンによると、第二次大戦中、欧州のユダヤ教徒(人)は、ナチスによって迫害され殺されて来たので、イスラエル国民はそれを反省的に捉えて「当時のユダヤ人は、いろいろな民族を信用し過ぎて騙された。これからのユダヤ人は、同胞以外は、誰も信用してはいけません」と教育されているそうです。また、イスラエルの学校では、ヘブライ語と英語は教えますが、最も近い外国の言葉であるアラビア語を学ぶことは出来ません。そういった教育環境の中で、若者たちは、パレスチナ住民と言葉を使ってコミュニケーションを取ることが出来ないのです。 これは彼女の語った例え話しですが、「もしも、自分の目の前に、2人のパレスチナ人がアラビア語でなにかを話し合っているとします。一見、たわいもない日常的な会話のように見えます。でも、残念ながら自分には、彼らがなにを話し合っているのかまったく解りません。そこへアラビア語の解る同胞がひとりやって来ます。彼は私にこう言いました。『あの2人のパレスチナ人は、どうやってあなたを殺そうか相談しているのだよ。あなたは殺されたくなければ彼らと戦わなくてはならない』自分で言葉を交せない者の悲劇です」問題はこのように単にコミュニケーションが取れないというだけではありません。その、情報交換が出来ないことを、政府に利用されて政府に都合の良いようなプロパガンダを流されてしまうということなのです。これは国家による国民の洗脳支配です。
こういった偏向した認識について、彼女はこう述べています。「偏向した認識を持っていることの問題は、ほとんどのイスラエル人が、自分たちは過去に抑圧されて来た立場のユダヤ教徒なのであって、他者を現在、自分たちが抑圧しているというメンタリティーを持っていないでいます。自分たちが、抑圧者としていることに対して無自覚、或いは見て見ぬふりをしています。だから、今こそ私たちイスラエル人は、自分たちの本当の姿と真っ正面から向き合わなくてはならないと思うのです」 そのあと、ケレンは『ピースナウ』の活動について、「3年前はデモや集会なんかをやっても、みんなイスラエル人ばっかりだったのだけれど、今では参加者の半分くらいは、パレスチナ人が来てくれます。デモも最近は、パレスチナ人自治区内に入ってまで行われています。こういった共同行動を今後も広げていきたいと思っています」と、さらに今後の平和活動に意欲を見せていました。 最後に、ラミがこんなことを言っていました。 「パレスチナ難民キャンプを訪れてくれる人たちは、そのひどい生活を見て、いつも悲しんでくれた。しかし、その後みんな国へ帰ってから、何もしてくれない人が多かった。私は少なくともみなさんは、そんなことはないだろうと信じています」 |
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PEACEBOAT - パレスチナに平和を - パレスチナ緊急支援全国ツアー |
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