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 少年は見た物を写真のように記憶できた・・・
 「直観像素質」一因と鑑定
 連続児童殺傷事件 きょう家裁処分決定

 神戸市の連続児童殺傷事件で神戸家裁に送致された中学3年の男子生徒(15)は、見たものを写真撮影するように記憶できる「直観像」素質を持ち、この特性が犯行の一因になったと精神鑑定書で指摘されていたことが16日、わかった。鑑定は、幼少期に発達した攻撃性と思春期にゆがんだ性衝動が結びついて成立した強固なサディズムが非行の重要な要因、と指摘。直観像素質も重なって犯行を引き起こしたと分析しているとみられる。17日の審判では、こうした鑑定書や弁護団、家裁調査官の意見などを勘案して井垣康弘裁判官が非行事実を認定、医療少年院送致の保護処分を決定する見通しだ。
 直観像素質は、見たものを一挙に記憶し、保存、再生できる資質で「天才型」の人に多いといわれる。
 中学校の正門に置いた男児の頭部に添えた挑戦状の内容を、逮捕されたあとで捜査員にそらんじて見せたこともあったといい、男子生徒にこうした素質があったことを裏付けている。
 鑑定では、こうした素質があったことからかえってビデオの虚構性に満足できなくなり、現実の殺害場面を克明に記憶するために殺人を犯し、ビデオを「再生」するように思い出しては快感を得ていた疑いを指摘している模様だ。
 17日の審判は午後1時半から。付添人ら弁護団と家裁の調査官が意見を陳述し、男子生徒や父母の意見も聞いたうえで井垣裁判官が処分の内容を伝える。

 ●直観像 心理学用語の一つ。以前に見たものが、まるで目の前にあるかのように鮮明に見える現象。「残像」や空想とは異なり、数時間後や数日後、あるいは数年後でさえ、一度見たものが原色で正確かつ明りょうに再現される。

朝日新聞 1997年(平成9年)10月17日 金曜日 朝刊 第2社会



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